A. 例外を除けば、こどもの矯正治療は6〜7歳くらいに始めるのがベストでしょう。
その根拠をお伝えしていきます。
矯正治療の開始時期については歯医者によって言うことが違うし、何を信じればいいの? ということがあります。
「 永久歯が生えそろうまで待ちましょう。」
「 まだそんなにガタガタしてないし、もうちょっと様子みていいですよ。」
「 一期治療で治りきらなかったら、二期治療で本格的に治しましょう。」
「 まだ乳歯しかないから様子見で大丈夫。」
「 予防矯正っていうのがあるんですよ。」…
ほんとうにそれでいいのでしょうか・・?
少し話を変えます。
どこのクリニックで治療を受けるか、これは患者さんに決定権があります。
それは、先生やスタッフの人柄で決めるのか、治療法で決めるのか、知人からの紹介か、ホームページのイメージ、治療費、こどもとクリニックの相性、通いやすさ・・
様々ある判断材料を総合的に考えて、何を一番大切にするのかを決めます。
これも決定権は患者さんにあります。
考え方は各ご家庭の方針があるので、それぞれの考え方や判断があっていいと思います。
しかし、何歳からこどもの矯正治療を始めたらいいのか。
これも、それぞれの考え方があっていいよねってことではありません。
最善のタイミングには医学的に正しい根拠や裏付けが必要です。
歯を動かそうと思ったら、それは何歳であろうとも可能です。
矯正治療は歯を動かすもの・・という考え方では、何歳で始めてもいいことになります。これでは様々な考え方が乱立してしまいます。歯医者によって言うことが違ったり、治療法や装置が数多くあるというのは、治療の目的が歯を動かすことになってしまったのが理由です。
治療の目的を ” 頭蓋顔面の正しい成長発育 ” で考えると、最善のタイミングは何歳でもいいとはなりません。 6〜7歳くらいが治療開始のベストタイミングになります。
- 脳が大きくなるタイミング(0〜5歳まで:”上顔面” の成長)
- 身体がグッと大きくなるとともに、呼吸器が大きくなるタイミング(6〜8歳頃:”中顔面” の成長)
- 永久歯に完全に生え変わるタイミング(9〜12歳頃:”下顔面” の成長)
※ かなり大雑把に示しましたが、実際はもっと複雑な成長発育をします。あくまでもイメージとして捉えてください。
こどもから大人への人体の成長は動的なものです。すべてのパーツが同じ比率で同時に大きくなるわけでもありません。
特に 頭蓋顔面部には 脳、目、耳、鼻、口、歯、舌、咽頭など、人体にとって極めて重要なパーツが集まっており、それぞれが機能した状態を保ちながら、こどもの顔から大人の顔へと成長していきます。
本来、その成長のタイミングを無視して こどもの矯正治療はできないはずですが、このような生物学的な要素を考慮せずに歯を並べることだけを目的にした矯正治療がこれまでの”あたりまえ” になってしまっていることはとても残念なことです。(そろそろ風向きは変わってきていますが・・)
歯だけに焦点をあてると下顔面だけを診ればいいのですが、じつは、歯ならびは “中顔面” の成長発育に最も影響を受けます。それは、6~8歳頃に成長のピークを迎えるため、その頃には歯ならび悪化の原因となる 口呼吸や筋機能 を治しておきたいのです。そして、正しい機能を身につけた状態で歯の交換期を迎えることができれば、キレイな歯ならびと共に健康的な良い顔立ちの獲得に繋がるでしょう。
情報は溢れかえっています。
しかし、大切なわが子を守れるのは保護者の知識の選択です。
適応年齢は5〜15歳です。しかし、治療を開始する年齢は6〜7歳がベストとなります。場合によっては5歳から治療を始めることが必要なケースもあるでしょう。情報を取りにいくのはもっと早いに越したことはありません。
こどもにとって、どの方法が最も良い選択になるのか、実際に治療を開始すべき時に右往左往しなくていいように、情報の整理と正しい知識を備えておきたいものです。