Myobrace矯正治療で治らないこともある?

適応年齢は5〜15歳ですので、それ以降はMyobrace矯正では治りません。
治療開始年齢が9歳を超えている場合も、タイミングとしては遅いといえます。
年齢的に、頭蓋顔面骨の前方への成長が止まってしまった場合は100%の治療結果は引き出せないこともあります。

”生物学的な問題は何か” という治療の本質を踏まえて、それが治るのか、治らないのかを考えなければいけません。

生物学的な問題とは、頭蓋顔面の前方への成長不足です。

(歯ならびの乱れはその結果、生じることです。)

 

 

 

顔立ちや歯ならびの変化をCASEで見ていきましょう。

初診時:下顎が前に出すぎているのではなく、上顎の前方への成長不足です。
マイオブレイスシステムによる治療:上顎を前方へ成長させることで、顔立ちと歯ならびがよくなります。

この問題を引き起こしているのは、呼吸器や筋肉などの軟組織の機能不全です。

 

 

次に、レントゲンでの変化を見てみます。

Before
After
Before
After

・気道が広がっている。(赤)
・中顔面が前方に成長した。(青)
・受け口が治る。(緑)
・頸椎のストレートネックが治る。(ピンク)
・歯ならびが治る。(黒)

※ 歯ならびが治ったから気道が広がるのではなく、気道が広がったから歯ならびが治りました。もし、歯だけに注目し、受け口だからとして歯を抜歯して顎を後ろに引っ張る治療をしてしまうと、元々狭かった気道はさらに狭まり、顔面の成長発育はさらに間違った方向へ進んでしまうところでした。

こどもの身体は、小学生の6~8歳頃になるとそれまでの幼児期に比べてグッと大きくなります。身体はたくさんの酸素を要求するので、肺も大きくなり、気道も広がり、垂直方向にも伸びます。このときの気道の状態が頭蓋顔面部の骨の形態に大きな影響を与えます。治療のタイミングを考えた時には、ここがターニングポイントです。この6~8歳頃までに口呼吸と筋機能を治すことができれば、顔面の成長も歯ならびもとても良い結果が得られます。

治療開始の年齢が遅くなると、Myobrace矯正で治しきれないこともあるでしょう。

歯ならびの乱れは生物学的な問題である以上、治療はこどもの成長とともにあるということを理解しなければいけません。

 

それでは、歯を機械的に動かす矯正治療の場合はどうでしょうか。

機械的な装置を使えば、見た目上の歯ならびを改善することはできます。しかし、リテーナー(保定装置)を使用しなければ、100%後戻りを起こす治療です。

生物学的な問題を無視した場合、その効果は一時だけで、バランスを崩してまた歯ならびは乱れます。一生涯、リテーナー(保定装置)を使い続けるなら歯ならびを維持できますが、人体に対して異物となるものを一生涯というのは現実的ではありません。

 

 

装置を使って機械的に歯を動かす方法は、患者さんにとっても楽な方法です。

治療はひと月に一回、診療室に来てデンタルチェアーに横たわっているだけです。

本当の原因の呼吸や筋肉の存在を無視して…

 

それでいいのでしょうか。

 

 

キレイになった歯ならびを維持していくのは、筋肉の他にありません。

歯を取り囲む ”筋肉” が歯ならびのほんとうの “リテーナー” です。

治療前の左の画像では安静時に舌が上下の歯の間に挟まっています。 治療後の右の画像では歯でかくれて見えませんが舌は正しいポジションにあり、上顎にくっついています。

もう1つ、年齢的な問題の他に治らないことがあります。

マイオブレイスをつける時間がない、アクティビティを見てあげられないといった場合です。

これまで長年の習慣になっている筋肉のバランスを変えるにはトレーニングが必要ですよね。

・マイオブレイスを日中起きている時の1時間と就寝時に使用する
・1日5分のアクティビティを保護者と一緒に行う

これを毎日続けていくことで治っていきます。

 

正しくマイオブレイスを使えるようになると、必ず歯ならびは改善していきます。

すぐに結果が出る子もいれば、結果が出るまでに時間がかかる子もいます。結果が出るまで辛抱強く待つことや、周りからの応援する力で、こどもたちは毎日少しずつ成長していきます。

 

 

保護者や医院スタッフがチームになって一人ひとりのこどもを支え、導いていく。

続けてきたことに結果が出ることで自分に自信をもっていくこどもたち。笑顔が連鎖していく。

こんな成長過程を見られるのは私たちにとってこの上ない喜びで、心が動く瞬間です。

 

 

話はそれましたがともあれ、

矯正治療を考えたときに、歯ならび悪化の原因はなんであるのか、そして我が子の現在地はどこなのか、治療に何を望んでいるのか、ということが見えてくるとよいのかと思います。

その上で、治ったかどうかの判断および満足度は患者さんに決定権があるといえるのかもしれません。

 

 

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